世界がどれだけ変わろうとも夜空に輝く星々は夜明けと共に消え、大地の朝露は日の光によって消えてゆく…。
星と朝露は日々、夜明けのその時のみ出会う。
世界がどれだけ変わろうとも、その出会いが短くとも、刹那の幸せを感じている。
その昔天界と人間界に境界はなく、天使と人間たちは共に暮らし、
国家、種族の隔てもない平和が永遠に続くと思われていた。
しかし、突如としてその平和は終わりを告げる。
大天使長ルシファーはある人間の少女に恋をした。だが、少女にはすでに天使の恋人がいたのだ。
叶わぬ恋と知りつつも、嫉妬により理性を失ったルシファーは大天使長としての力で少女と恋人の天使を夜空の星と朝露にし、永遠に会うことができないようにしてしまった。
その行いにより神に罰せられることを予見したルシファーは自らの軍勢を率いて、神への戦争を企てた。だが、それを知った神はその力でルシファーとその軍勢を地獄の底に封じ込めた。
神はルシファーの反逆を機に、天界と人間界を分け、天使が人間界に降りることを禁じた。以来、天界と人間界との繋がりが途絶え、長い時が過ぎた…。
ルシファーは地獄に封じ込められて以来、力を拡大し「悪魔学園」を創立、天界に対抗するに十分な力をつけた。神へ、エデンへ復讐するために。
「エデン特別派遣部隊募集!」
「エデン浄化計画始動!」
白い雲間に浮かぶ天界、エンジェル学園ではスローガンが掲げられ、
学園長ミカエルは声高らかに生徒たちへ演説をする。
「新入生諸君! 我々は邪悪な存在を許していてはいけない! 邪悪な意思により人間界、エデンには混沌がもたらされた。君たちの力で人々を救ってほしい!」
「結局は学内の授業の点数が大事だろ。」
「エデンに行くいい機会かもね!」
「風香林とかいい景色みたいだぜ」
「そんな気持ちじゃだめよ!」
「自分は聖光城で騎士団に入って人々を救ってみせる!」
「それよりはまず卒業のことを考えないと。戦闘学科がどうもなぁ…。」
生徒たちがそれぞれ話す片隅で、一人笑みを浮かべる者がいた。
「俺は第2のルシファーになる…、いや…」
「悪魔の王になる!」